人工授精を3回行いましたが、結果を得ることはできませんでした。
その後、医師から「受精障害の可能性がある」と告げられ、私たち夫婦(夫:ナガト、妻:うさこ)は、次のステップである体外受精へ進む決断をしました。
顕微授精を勧められたが、最初は「ふりかけ法」を選んだ理由
体外受精に進むにあたり、医師からは顕微授精(ICSI)を勧められました。
顕微授精とは、1つの精子を直接卵子に注入する方法で、受精障害が疑われる場合に有効とされています。
ただし、一部の論文では「出生児の先天異常や染色体異常の確率がわずかに上昇する可能性」が指摘されていることもあり、私たちは慎重に考えました。
その結果、1回目の採卵では、自然に近い形である「ふりかけ法(体外受精)」を選択しました。
私たちの体外受精の結果
ここからは、実際に行った4回の採卵とその結果を記録として残します。
① 採卵(2023年2月日)
- 採卵数:24個
- 方法:ふりかけ法
- 受精:4個
- 良好胚:1個(4AB)→凍結
最初の結果としては、「24個も採れた」という期待に対して、凍結まで至ったのは1個のみ。
この時点で、受精率の低さに強い不安を感じました。
② 採卵(2023年6月21日)
- 採卵数:19個
- 方法:ふりかけ10個、顕微授精9個
- 受精:10個
- 良好胚:8個 → 凍結1個(4BC)
この回から、半分を顕微授精に切り替えました。

一部親族からは、「顕微はやめておいたほうがいい」。そんな声もありました。
ただ、私達夫婦は一縷の望みでもかけたいとう思いから、夫婦で話し合い顕微授精をすることにしました。
受精数自体は増えましたが、最終的に凍結できたのはやはり1個のみでした。
③ 採卵(2024年2〜3月頃)
- 採卵数:12個
- 方法:ふりかけ6個、顕微授精6個
- 結果:全滅(凍結0)
この回は非常に厳しい結果となりました。
採卵できても、受精・分割・胚盤胞と進む中で、すべて脱落してしまいました。
心が折れかけた出来事
体外受精が思うように進まない中で、うさこにとって大きな出来事がありました。
親友からの妊娠報告です。
もちろん、心から「おめでとう」という気持ちはありました。
大切な人の幸せを喜びたいという気持ちは、嘘ではありません。
それでも同時に、
「どうして自分たちはうまくいかないんだろう」
という思いが押し寄せてきました。
喜びと苦しさが同時に存在する、どうしようもない感情。
その現実に、精神的に大きく打ちのめされた瞬間でもありました。
不妊治療は、結果だけでなく、こうした“心の揺れ”とも向き合い続ける時間なのだと実感しました。
④ 採卵(2024年6月)
- 採卵数:16個
- 方法:全て顕微授精
- 受精:13個
- 良好胚盤胞:11個 → 凍結4個
(初期胚1個、4AB、4BB、4BC ※一部記憶ベース)
この回で初めて、「結果が出た」と感じられる成果が得られました。
全て顕微授精に切り替えたことで、受精率・胚盤胞到達率ともに大きく改善しました。
双子の妊娠
不妊治療から苦節2年。
2024年6月に顕微授精で得られた「4AB」と「4BC」の胚盤胞をうさこの体内に戻し、後日無事妊娠することができました。
妊娠の確率を上げるため2つ戻したのですが、その結果両方とも着床し、双子を妊娠しました。
多嚢胞性卵巣症候群と採卵の現実
うさこは多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)で、いわゆる「持ち卵が多い」タイプでした。
一見すると有利に思えるかもしれませんが、実際はそう単純ではありません。
- 卵子は多く育つが、すべてを採卵できるわけではない
- 採卵数は毎回バラつきがある(24個のときもあれば12個のときもある)
そして何より大きかったのが、「受精率の低さ」でした。
受精率と胚の淘汰という現実
特に印象的だったのは、ふりかけ法の受精率の低さです。
「こんなに卵があるのに、こんなに受精しないのか」
正直、恐怖に近い感覚がありました。
さらに、受精したとしても安心はできません。
- 分裂3日目:多くの胚がここで脱落
- 分裂6日目:さらに脱落
順調に分裂し、最終的に凍結できる胚盤胞はほんの一握りです。
実際の結果を振り返ると、
- 1回目:24個中1個
- 2回目:19個中1個
- 3回目:12個中0個
- 4回目:16個中4個(全顕微)
という結果でした。
「数がある=安心」ではないことを、身をもって実感しました。
体外受精にかかった費用
4回の体外受精にかかった総額は、855,027円でした。
これでも保険適用の範囲内での金額です。
治療が長引けば、さらに大きな負担になる可能性があります。
私たちが向き合った「やめ時」という問題
結果的に妊娠には至ったものの、体外受精を進める中で、私たち夫婦が最も真剣に話し合ったのは「やめ時」でした。
子どもは心から望んでいました。
しかし同時に、現実として以下の問題がありました。
- 費用面の限界
- 精神的な消耗
- 時間的な制約
もし終わりを決めなければ、治療は続けることができます。
しかしそれは同時に、「時間もお金も、そして心も削られ続ける」ということでもあります。
「続けること」が本当に幸せなのか
ふと考えたことがあります。
もし私たちが、延々と不妊治療を続けていたら——
それは本当に幸せだったのだろうか、と。
答えは簡単には出ません。
だからこそ、
- どこまでやるのか
- どこで区切りをつけるのか
この基準を夫婦で共有しておくことが、とても重要だと感じました。
それでも難しい「決断」
もちろん、事前に「ここまで」と決めていたとしても、実際にそのタイミングに直面したとき、同じように判断できるかは分かりません。
結果が出たからこそ今こうして言えていますが、もし結果が出ていなかったら——
その決断は、もっと苦しいものになっていたと思います。
これから体外受精に臨む方へ
体外受精は、希望を持てる治療である一方で、非常に大きな負担を伴います。
だからこそ、
「覚悟」と「話し合い」
この2つが何より大切だと感じています。
- 費用はどこまで出せるのか
- 何回挑戦するのか
- やめ時をどうするのか
これらを夫婦でしっかり話し合い、同じ方向を向いて進むことが重要です。
まとめ
人工授精から体外受精へ。
私たちにとって体外受精は、決して簡単な道ではありませんでした。
4回の採卵、そして約85万円の費用。
その中で得たのは、「結果」だけでなく、「選択の重み」でもありました。
これから同じ道を進む方にとって、この経験が少しでも参考になれば幸いです。

